危険な誤飲・誤食の事故。子犬や老犬、食いしん坊で遊び好きの犬は要注意[ドッグトレーナーアドバイス]
思いがけないものを飲み込んでしまう誤飲・誤食の事故は、命に関わる危険もあります。リスクが高い年代やタイプに愛犬が当てはまる場合は要注意。事故を防ぐ環境づくりや、犬の口から取り出す方法を確認しましょう。
誤飲・誤食しやすいものは2種類
食べ物ではないのにうっかり飲み込んでしまう事故が「誤飲・誤食」です。犬が誤って口にしてしまうものは大きく分けて2種類。どちらも口に入るサイズで適度な噛みごたえがあるものです。
●食べておいしいもの
室内:レトルト食品の袋、焼き鳥の串、お菓子の包み紙など。甘味成分が含まれる保湿ティッシュも含まれる。
屋外:お菓子の袋、中華まんのシート、人の食べ残しなど。
●噛んで楽しいもの
室内:ペンのキャップ、トイレシート、観葉植物など。飲み込まなくてもプラスチック製品をかじる犬は少なくない。
屋外:たばこの吸殻、石など。風に舞う枯れ葉を追いかけてくわえた拍子に飲み込むこともある。
子犬・成犬・老犬によって異なる事故の原因
子犬の頃は誤飲・誤食の事故が圧倒的に多い時期です。身の回りにあるものを調べるために口に入れようとします。ものをくわえたり噛んだりする頻度が高いため、事故が起きやすいので要注意。 1歳を超えてほぼ成犬になると事故は減っていきます。ただし子犬の頃に誤飲・誤食を経験したものに対しては繰り返すこともあります。
老犬になって10歳を超えた頃から再び事故が増えるケースがあります。 視覚や嗅覚など感覚機能が衰えてものを確認することが難しくなり、くわえる頻度や飲み込んでしまう頻度が増えることも。また、認知症が原因で食欲が増すことから、前述の「食べておいしいもの」をくわえて飲み込んでしまうことも多くなる年代です。
食いしん坊で遊び好きの犬は要注意
食へのモチベーションが高い食いしん坊タイプと、ものを噛みたがる活発で遊び好きタイプは誤飲・誤食のリスクが高めです。
おもちゃを追いかけて口にくわえて遊ぶのが好きなゴールデン・レトリーバーやラブラドール・レトリーバー、ニオイでものを探してから口に入れて確認することが好きなビーグル、おもちゃを噛んで破壊して遊ぶことが好きなジャーマン・シェパード・ドッグやボーダー・コリーなどの犬種は、誤食をしやすいので注意が必要です。
もちろん、その他の犬種でも誤食をする危険性は十分にあるため、犬種にとらわれず気をつけましょう。
誤飲・誤食を防ぐ環境づくりは?
子犬を迎えたらいたずらをさせないように、安全な部屋やサークルなどの決まったエリアで生活させること。1歳頃まで誤飲・誤食の経験をしたことがなければ、それから先もいたずらに興味を持ちにくくなります。
成犬や老犬の場合は、片付けや掃除などの環境管理が大切。飼い主さんが見守れないときには、サークルやクレートで過ごさせるのも一案です。犬の安全を守るためにいたずらを習慣化させないよう心がけましょう。
犬が口に入れたものを取り出す方法
犬がくわえたものと大好物のおやつを交換する方法がおすすめです。あわてて犬に近づいたり無理に取り上げようとしたりすると、警戒して守るようになって交換しづらくなります。また、取り上げられないように飲み込んでしまう危険もあります。
●屋内でくわえてしまった場合
1)口にくわえてしまったら、犬には近づかないで、犬の近くに大好きなおやつを投げる
2)何度かおやつを投げて気を引き、くわえているものを口から放したら、くわえていたものから遠ざける
ようにおやつを投げて、くわえていたものと犬との距離を広げていく
3)犬を別室に移動させ、扉を閉めてから、くわえていたものを回収する
4)この手順を習慣にしていると、ものを口に入れても、おやつを準備しただけで放すようになる
●散歩中など屋外でくわえてしまった場合
1)日頃から「くわえると危険なものがある場所には連れていかない」「犬の自由に歩かせすぎない」など、くわえる前の予防に徹する
2)屋外に出る際も、犬にとって大好きなおやつを常に持ち歩くようにする
3)くわえてしまった場合は大好きなおやつを地面にばらまいて気を引き、くわえているものを口から放したら、再びくわえないようにリードでコントロールしながら回収する
誤飲・誤食の事故は、飼い主さんが犬を見ていないシーンで起きるケースが大半と考えられます。室内ではエリア分けと環境管理を心がけましょう。
(記事監修:鹿野正顕先生/スタディ・ドッグ・スクール代表)