「食べていれば安心」は過信。食欲旺盛でもやせていくのは病気のサイン[獣医師アドバイス]

食欲がなくて食事がきちんと食べられなければ、当然のことながらやせていきます。けれども、食欲があってしっかりと食べているのにやせていく場合は、なんらかの病気が疑われますので注意が必要です。

栄養が体内に十分に吸収されずにやせる

やせるということは体重を維持するのに十分な栄養が体内に吸収されずに、エネルギーが不足している状態です。食事量と運動量のバランスも大切で、運動量の多い活発な犬では、その分、食事を多めに与えなければエネルギーは不足しがちになりますし、妊娠中や授乳中の母犬には、胎児や子犬に与える母乳を作り出すために高カロリーな食事を与えなければ栄養不足となり、たくさん食べるのにやせていきます。
そもそも食事の量が足りていない場合や食事の栄養バランスが極端に偏っていれば、いくら食べても必要なエネルギーが満たされずにやせてしまいます。けれども、成犬で、食事の量や内容を変えずにしっかり食べているにもかかわらず、それまでの体重を維持できずにやせていく場合には、栄養分が体内でしっかり吸収されていない、あるいは吸収した栄養分を体内で利用できていない状態で、背後に何らかの病気が潜んでいると考えられます。

やせすぎの体型チェック

犬の体型を上から見て、肋骨や腰のくびれがはっきりとわかる状態はやせすぎです。栄養状態が悪いときは腰椎や骨盤などが浮き出て、お腹の皮膚もたるんできます。しっかりと食べているのにどんどんやせていくときには、下痢はないか、嘔吐していないか、水を飲む量が増えていないか、活動量が増えていないかなども合わせて確認しましょう。

食べるのにやせていく原因

犬がやせるときにはさまざま原因が考えられます。夏になると暑さによって食欲が落ちてやせることもありますし、高齢になるとやせることもあり、やせるからといって必ずしも病気とはかぎりません。ただし、しっかりと食べているのにやせていく場合には、次のような病気の可能性が考えられるので、動物病院で相談しましょう。

●糖尿病
インスリンの量が低下して血糖値が上がる病気です。水をたくさん飲み、おしっこの量が増えるのが典型的な症状で、食欲旺盛になりますが食べてもやせるようになり、だんだん食欲も低下して元気がなくなります。下痢や嘔吐などの症状もみられます。

●膵臓の機能不全
若齢性の病気あるいは、老犬にみられる慢性膵炎などで膵臓の障害で酵素が十分に分泌されなくなると、がつがつと食べているのに消化不良を起こしてやせていきます。くさった油のようなにおいのするうんちを大量にするのが特徴です。

●寄生虫症
回虫や条虫などの寄生虫が体内に寄生していると、いくら食べてもお腹の虫に栄養をとられてしまい、やせていきます。消化管に炎症が起こり、下痢や嘔吐などの症状が見られることもあります。

●慢性胃腸炎
慢性的に軽い下痢が続くと、食べても栄養が十分に吸収されずにやせていきます。

●ストレス
他の動物や家族が新たに増えた、引っ越しをしたなど、急激な環境の変化がストレスとなって下痢が続き、やせていきます。

月に一度は体重測定を

食事は食べていれば安心と思いがちですが、1カ月に1回はきちんと体重測定を行いましょう。正確な体重の増減を知るためには、食事管理も重要です。フードは目分量ではなくきちんと計量して与えると、体重の変化にも気づきやすくなります。また、食事は単純な量の問題だけでなく質も問われます。愛犬の活動量やライフステージに見合った食事を与えましょう。

(監修:石田卓夫先生)