いつの間にか太ってしまう原因は?健康的な体重・体型を維持する食事管理のポイント[獣医師アドバイス]
犬は飼い主さんが与えたフードやおやつを食べて生きているので、与えすぎれば肥満へ一直線。とくに最近はほとんどの犬が室内飼育で運動不足になりがち、しかも避妊・去勢手術をしているケースも多くより太りやすい傾向にあります。愛犬が健康的な体重・体型を維持できるように食事管理を見直しましょう。
食事量をきちんと管理する
●フードの給与量を計って与える
フードの給与量はg単位で定められています。はかりで計量して与えましょう。カップなどを使った目分量では誤差が出るうえ、粒の大きさにも量が左右されるので要注意。とくに小型犬の場合、少しの誤差でも体重に大きく影響するので、給与量はきちんと計量することが重要です。
●給与量は適正体重に合わせる
フードのパッケージに記載されている体重別の給与量をもとに与える場合は、愛犬の「適正体重」に合わせましょう。愛犬が太りすぎの場合、現時点の体重を基準にすると現状を維持するだけで減量はできません。
●おやつは別腹ではない
おやつを与える場合、その分のカロリーを1日のフードの給与量から減らすこと。フードのパッケージには100g単位でカロリーが記載されていることが多いので、愛犬の給与量をもとに計算しましょう。
しっかり体重管理をしたいときは、フードをおやつ(ごほうび)にするのも一案です。1日分のフードを取り分けておき、そこからおやつ(ごほうび)として与えれば、カロリーの計算が不要で管理も簡単です。
●食事のルールは家族で共有
1日の食事量やおやつの回数など、食事のルールは家族で共有しましょう。各自が勝手におやつを与えたり食べ物のおすそ分けなどしないように徹底することが大切です。
食事の与え方にも工夫を
●1回量を減らして回数を増やす
食べたものを消化吸収する際にもエネルギーを消費するので、食事回数は1日1〜2回より3回に分けて与えたほうが脂肪の蓄積を減らせます。空腹時間が短くなるので、犬も満足感を得やすくなるのもメリットです。
●早食いを防止する
早食いよりもゆっくり食べたほうが満腹感を得やすいのは犬も同じです。一気食いするタイプの犬は、早食い防止食器(器の底面に凹凸がある)などを利用すると食べるスピードを遅らせることができます。
太りやすくなったらフードの切り替えも
●避妊・去勢手術後
避妊・去勢手術後は、ホルモンバランスが変わったり、発情行動でのエネルギー消費がなくなったりして基礎代謝が低下します。それまでと同じ食事内容では太りやすくなるので給与量を減らしましょう。満腹感を優先させたい場合は低脂質・高繊維質の低カロリーフードに切り替えるのも一案。太りやすさに応じて食事を見直しましょう。
●シニアの入り口
6〜7歳のシニアの入り口になると基礎代謝が低下し始め、犬も“中年太り”しやすくなります。肥満は生活習慣病予防の大敵。脂質やカロリーを抑えたシニア用フードへの切り替え時期です。
食事管理と並行して
●定期的な体重・体型チェックで早めに食事管理を
肥満になってから減量するのは大変なので、定期的に体重・体型チェックを行い、太る兆しが見えたら早めに食事管理を始めることが大切です。
●適度な運動で太りにくい体づくりを
犬の消費カロリーの約70%を基礎代謝が占め、その中でも筋肉の割合が約40%です。筋肉量が減るほど基礎代謝が低下し、太りやすくなってしまいます。適度な運動を欠かさず筋肉を維持し、太りにくい体をつくりましょう。
(監修:石田卓夫先生)