ぽっちゃり猫にさせないための食事管理のポイント[獣医師アドバイス]

ぽっちゃり体型の猫はふっくらとして見た目はかわいいですが、「肥満は万病のもと」であることは、人も猫も同じです。おねだりされるとつい余分にあげたくなってしまいますが、愛猫のためにも食事の管理をしっかりと行い、太らせ過ぎないようにしましょう。

肥満によって引き起こされる病気

猫の体重が増え続けてしまうと、以下のような病気や生活上の弊害のリスクが高くなります。

●内臓への負担を高め、糖尿病や心臓・肝臓の病気などにかかりやすくなる。
●「食べられない」状態が続いたときに、肝臓に過剰な脂肪がたまって機能しなくなる脂肪肝(肝リピドーシス)にかかりやすい。
●足や背骨の関節、靭帯に負担がかかるため、関節炎などを引き起こすことがある。
●コロコロした体型になると、体が思うように曲がらず舌が届かなくなり、自分で毛づくろいができなくなる。毛がボサボサになったり、フケも出やすくなる。

肥満にさせないための食事の管理

肥満防止の基本は、食事を適正量与えること。フードはパッケージの記載を参考に、愛猫に合った量を与えましょう。「だいたいこれくらいかな?」という目分量ではなく、きちんと量を計ったものを毎回与えることが大切です。

「愛猫に合った量」というのは、「今の体重」ではなく、「本来の理想の体重」に合った量です。
愛猫がすでに肥満体型の場合、その体重に合ったフード量を与えていると、肥満体型のままになってしまいます。ですが、飼い主さんの独断でフード量を減らすと、食事量が少なすぎて心身ともにバランスを崩してしまうリスクもあります。「腰のくびれがない」「体の側面から触れたときに肋骨を感じられない」といった体型の猫は、獣医師と相談しながらダイエットの計画を立てるといいでしょう。

フードの与え方も工夫しよう

猫はもともと1日に何度も獲物を捕まえて食べていた動物なので、同じ量であれば、1日あたりの食事回数を複数に分けたほうが、本来の食生活に近づくので満足感もアップします。食事の与え方も工夫しながら、カロリー摂取過多を防ぎましょう。

太りやすい猫は、フードの種類も見直しを

フードの適正量を守っても体重が増加する場合は、低カロリー・低脂質のものや、食物繊維を多く含んだものなど、満腹感を与えられるように設計されたフードなどへ切り替えてもいいでしょう。

とくに去勢・避妊手術済みの猫は、ホルモンバランスの変化から代謝が落ちて、太りやすくなります。最近は去勢・避妊手術済みの猫の体に合ったフードも市販されているので、活用するといいでしょう。

おやつや人の食べ物で、カロリーオーバーしがち

フードを適正に与えていても、さらにおやつをプラスして与えていると、カロリーオーバーになります。おやつも含めて1日の必要カロリー内におさめるようにしましょう。栄養バランスを崩さないためにも、1日の必要カロリーの10%までが理想です。

とくに人の食べものをおすそ分けして与える場合、与えすぎには十分注意が必要です。たとえば飼い主さんの体重が60kg、愛猫の体重が3kgであるなら、猫の体重は人の約20分の1。たった1匹の煮干しを与えたとしても、猫からすれば煮干し20匹分食べることに相当し、これでは多すぎです。人にとって少量だと思っても、猫からすればかなりの量になることを覚えておきましょう。

肥満対策には、運動も大事

体重管理のためには、積極的に運動を促してエネルギーを消費させることも大切です。食いしん坊な猫には、転がすと中からフードが出てくるおもちゃで遊ばせてあげたり、おやつをキャットタワーの上にのせて猫を誘導したりと、食欲を満たせる遊びに誘ってあげましょう。

(記事監修:服部幸先生/東京猫医療センター院長)