おやつの上手な与え方をマスターして、コミュニケーションタイムをもっと楽しもう[獣医師アドバイス]
「食後のおやつ」「3時のおやつ」「おやつは別腹」と、犬におやつを与えすぎていませんか? 愛犬が喜ぶからといって主食以外の食べ物を与えすぎると、肥満や不健康の原因に。おやつは飼い主さんとのコミュニケーションツールとして上手に使いましょう。
そもそも犬におやつは必要?
愛犬がかわいいしぐさでおやつをおねだりしたり、おいしそうに食べたりする姿を見るのは、飼い主さんにとって至福のときでしょう。さまざまなおやつの中から愛犬が喜びそうなものを探すのも楽しみの一つ。しかし、そもそも犬にとっておやつは必要なのでしょうか?
●栄養学的には不要
健康を維持するために必要な栄養は、適正量のドッグフードを与えていればまかなえます。栄養学的には犬におやつを与える必要はありません。
●ごほうびやコミュニケーションツールとして有効
栄養面では不要とはいえ、犬はおやつが大好き。しつけやトレーニング、ケアの練習の際のごほうびとして使えば、犬の学習意欲を高められます。またおやつを使って愛犬とコミュニケーションを深めることで、より良い関係を築けるメリットもあります。
与え方によってはデメリットも
コミュニケーションツールとして有効なおやつですが、与え方を間違えるとデメリットになることも知っておきましょう。
●肥満の心配
嗜好性の高いおやつの多くが高カロリー。愛犬が喜ぶからといって与えすぎると、肥満になってしまいます。とくに人の食べ物は高カロリーなのでおすそ分けはNG。
●栄養バランスの崩れ
おやつは主食ではないので、与えすぎると栄養バランスが崩れて健康に悪影響を及ぼします。人の食べ物は犬にとって味が濃すぎるうえ、中毒を引き起こす食材もあるので与えるのは控えましょう。
硬すぎる骨やひづめなどの硬いおやつは、歯が割れたり折れたりする危険も。愛犬の健康を考えて安全なおやつを選びましょう。
●フードを食べなくなる
嗜好性の高いおやつを与えすぎると、犬がその味を覚えて主食のフードを食べなくなってしまうことがあります。おやつはしつけやコミュニケーションのときに適量を与えましょう。
与えるときは、こんなところに注意!
●おやつは1日の摂取カロリーの10〜20%以下に抑える
おやつは別腹ではないので、おやつを与えたらそのカロリー分の食事を減らします。栄養バランスを崩さないように、おやつの量は1日の必要摂取カロリーの10〜20%以下に抑えましょう。
もし愛犬がフードを好きなら、おやつではなくフードをごほうびとして与えるのもおすすめ。1日分のフードの一部をごほうび用に取り分けておき、しつけやコミュニケーションのときにそこから与えましょう。カロリーの計算が不要で体重管理がしやすくなります。
●満足感は量より回数
犬は食べ物を飲み込む習性があるので、量よりも回数が満足度を高める鍵。おやつを与えるときは、「一度にたくさん」より「数回に分けて少量ずつ」あげるほうが喜びを感じる回数も増えるわけです。
おやつの使い分けをマスターしよう
●小さいおやつ
しつけやトレーニングのときはごほうびを何回も与えることになるので、小さくちぎれるおやつが便利です。1回分の量は人間の小指の爪の半分程度で十分。大型犬はやや大きめでもいいでしょう。
●やわらかいおやつ
チーズなどのやわらかいおやつは、歯みがきや薬を飲ませる練習にぴったりです。指にチーズをつけて犬になめさせながら、口を開けたり中に指を入れたりする練習を。歯みがきの練習は、ペースト状の歯みがきジェルもおすすめです。
●アキレスやガム
飼い主さんが忙しいとき留守番のときのひとり遊び用に、アキレスや牛皮のガムを与えましょう。噛んで楽しめるので退屈しのぎになります。歯を痛めない弾力性のあるもの、飲み込んでものどに詰まらない大きさのものを選ぶこと。
愛犬が好むおやつのランキングをつくり、簡単なトレーニングには好物、ステップアップしたいときにはとっておきの大好物に変えるなど、メリハリのある与え方も上達のポイント。おやつを効果的に使ってコミュニケーションタイムも楽しみましょう。
(監修:石田卓夫先生)