キャットフードだけで満足? ドライとウエットどっちがいい? 食事の基本を解説![獣医師アドバイス]

肉を食べなければ生きていけない真性肉食動物である猫。ふだんのフードは、どんなものを与えればいいでしょうか? 飼い猫の基本的な食事となる「キャットフード」の与え方の基本を解説します。

ベースは、良質な「総合栄養食」を与える

猫の体や食性に合わせて手作り食を与える方法もありますが、猫が本来は小動物の内臓や骨まで含めた食事をしていたことを考えると、栄養バランスの調整は「誰にでもできる」というわけではありません。

最もシンプルに考えるなら、その猫のライフステージに合った、なるべく質のよい「総合栄養食」を、適正量与えることが大切です。総合栄養食とは、ペットフード公正取引協議会が採用する「AAFCO(アメリカ飼料検査官協会)」の栄養基準を満たしているフードのこと。その食事と水だけで、猫にとって必要な栄養素をすべて補うことができます。人の食事で例えるなら、 全体での栄養バランスが考えられた “学校給食”のようなイメージです。もっとも一言で総合栄養食といっても、原材料には違いがあります。プレミアムブランドと呼ばれるような、栄養バランスが安定しているキャットフードを選ぶといいでしょう。

ドライとウェットは、どちらを与えてもOK

キャットフードは、大きく分けるとドライフード(通称カリカリ)とウエットフードがありますが、総合栄養食であれば、どちらを与えてもかまいません。

ドライフードなら、噛みごたえがあり、歯石が付きにくいメリットがあります。一方で、ウェットフードは、食事から効率的に水分を補給できるメリットがあります。積極的に水を飲まない猫や、ウエットフードのほうを好んでよく食べる猫、ドライフードが食べにくくなってきた高齢猫に与えてもいいでしょう。開封後は傷みやすいので、食べ残しは早めに処分しましょう。

「一般食」は“おかず”。主食にならない

ウエットフードには、「一般食」も多くあるので、必ずパッケージ書かれている表示を確かめてから購入を。一般食とは、簡単にいうと“おかず”のようなもの。それだけでは必要な栄養素が補えないため、総合栄養食といっしょに与える必要があります。猫が好みやすい味付けのものが多いので、食欲が落ちているときに、主食にトッピングしてもいいでしょう。

食の好みの「変化」も意識して、柔軟に対応を

飼い主さんが「ドライしか」「ウエットしか」食べないと思っていても、猫の好みは変化することがあります。さらに、たとえば同じウエットフードでも、肉の食感が残ったものもあれば、食べやすく細かくカットされたものなど多種多様です。スープ状やゼリー状のものは食べるけれど、ムース状は食べなくなったなど、味だけではなく食感の好みも変わることもあります。

「これまでこれしか食べなかった」にこだわらず、「今はこんなものも食べるかな?」と、愛猫の好みを観察しながら、たまに他のタイプを試してみてもいいでしょう。最近では、猫用のおやつにも「総合栄養食」のタイプが登場しています。愛猫とのコミュニケーションを楽しみながら、与えてみるのもいいですね。

(記事監修:服部幸先生/東京猫医療センター院長)