タマネギだけではない、犬が食べると命に関わるもの。身のまわりにある危険を再確認[獣医師アドバイス]

犬にとって危険な食材としてタマネギやチョコレートはよく知られています。しかし他にも口にすると中毒を起こしたり命を落としたりするリスクがあるものはたくさん。身のまわりにある危険なものを再確認しましょう。

人には無害でも犬には危険な食材

人には害がなくても、犬が食べると危険な食材は少なくありません。食材に含まれる成分が中毒を起こす原因になるため、加熱や加工した食べ物を与えるのもNG。命に関わることもあるので、うっかりおすそ分けしたり、愛犬がこっそり盗み食いしたりしないように注意が必要です。

●ネギ類(タマネギ、長ネギ、ニラなど)
原因:アリルプロピルジスルフィド
症状:赤血球が破壊され、貧血など。

●ブドウ・レーズン
原因:成分不明
症状:嘔吐・下痢、急性腎障害など。

●アボカド
原因:ペルシン
症状:嘔吐・下痢・呼吸困難など。

●マカダミアナッツ
原因:成分不明
症状:嘔吐・震え・歩行不能など。ナッツ類は一般に消化不良を起こしやすいので避けたほうが無難。

●チョコレート
原因:テオブロミン
症状:嘔吐・下痢・失禁。進行すれば危険な痙攣・昏睡の症状も。

●アルコール
原因:エタノール
症状:嘔吐・下痢・惰眠、進行すれば呼吸回数の減少・昏睡など。

●キシリトール(ガム・歯みがきなどに含まれるが、大量に食べた場合)
原因:キシリトール
症状:急激な低血糖が起き、肝不全の危険も。

●牛乳・乳製品
原因:乳糖
症状:すべての犬にNGではないが、乳糖不耐症の犬には下痢の原因に。成長とともに乳糖を分解するラクターゼが減少するので、与えないほうが無難。

きれいな花にも毒がある

犬は退屈しのぎやおもちゃ代わりに、植物をかじったりすることがあります。しかし身近な植物の中にも、口にすると中毒を起こす危険な有毒植物がたくさん。部屋に飾っている花や観葉植物、散歩コースで見かける花壇や植え込みなどにも要注意。犬が近づきやすい場所に危険な植物がないかチェックしておきましょう。

●観葉植物
アイビー、ポトス、ドラセナ(幸福の木)、ディフェンバキア、アロエなど。
●鉢植え
シクラメン、ポインセチアなど。
●ポピュラーな花・木
ユリ、チューリップ、スイートピー、カーネーション、アサガオ、スイセン、ヒガンバナ、パンジー、デイジー、ビオラ、ヒヤシンス、ツツジ、サクラ(花びらは無毒)など。

身のまわりにある誤飲・誤食しやすいもの

食材や植物以外でも犬の誤飲・誤食事故は非常に多いことを知っていますか?食材のにおいがついていたものを食べたり、遊んでいた拍子に飲み込んだり、興味を惹かれて口に入れたりと、きっかけはさまざま。中毒や腸閉塞などの重大な症状が起きる危険もあります。

●おもちゃ
ボールを丸飲みしたりおもちゃの破片を食べたりすると腸閉塞の原因に。おもちゃ選びはサイズや素材に注意し、飼い主の目の届くところで遊ばせる。

●人間の薬
人間の薬の誤飲は中毒症状や思いがけない作用が現れる。極めて危険なので犬が届く場所に放置しないこと。

●骨・竹串
とがった骨の破片や竹串が消化管を傷つける恐れがある。

●除草剤・殺鼠剤
成分によっては命を落とすこともある。殺鼠剤によく使われるワルファリンは毒性が強く、口にした場合は一刻も早い処置が必要。

●保冷剤
車のラジエーター不凍液に使われるエチレングリコールは、犬が好む甘い味がするため、直に捨てると舐めてしまう犬が少なくない。暑さ対策で使う保冷剤には、プロピレングリコールが入ったものが多く、やはり食べると危険なので原料チェックを。

危険な食材や異物を食べたらすぐ動物病院へ

犬が危険な食材や異物を口にしたことに気づいたら、すぐに動物病院へ連絡してください。自宅で応急処置をしようとして、さらに症状を悪化させてしまう危険があります。ホームドクターの診療時間外であれば、夜間救急対応動物病院などに相談しましょう。

(監修:石田卓夫先生)