食べ過ぎ・肥満に注意したいから。愛猫が1日に必要とするカロリーの計算方法を知ろう[獣医師アドバイス]
運動不足に、食べ過ぎ。最近では肥満体型の猫が増えています。しかし、飼い主さんは気付いていないことも……。人と同じで猫も太り過ぎは、病気のもとになります。愛猫にとって必要なカロリー(エネルギー)はどれくらいか、目安となるポイントを覚えておきましょう。
基本は、フードのパッケージに記載の量を
猫に与えるフードは、基本的には各ライフステージに合ったフードを選び、製品のパッケージに表示されている体重を基準にした適正量を与えればOK。その都度はかりで量を計ってもいいですが、専用の軽量カップを用意し、フードを入れた状態で1度計ってその量のところに印を付けておけば、毎回計る必要はありません。
体重に合わせてフード量を決めるにあたって注意したいのは、「適正体重」を基準にすること。体重がどんどん増加しているのにもかかわらず、増加した体重に合わせてフードの量を増やし続けていては、太る一方です。適正体重とは、その猫にとって、太りすぎても痩せすぎてもいない、バランスのよい状態。愛猫の適正体重を、健康診断のときなどに獣医師に相談しておくといいでしょう。
必要な摂取カロリーは、年齢・活動量などにもよる
適正体重をキープするためには、猫ごとに異なる必要カロリー量のポイントを抑えておきましょう。年齢、活動量、不妊・去勢手術済みかどうかなどのさまざまな要因が絡んできます。
<年齢>
たとえば体の基盤をつくる子猫期と、代謝が落ちて食も細くなる高齢猫とでは必要なカロリー量は大きく異なります。また、妊娠・授乳期の猫も、体内や生まれてきた子猫のために多くのカロリー量を必要とします。
<活動量>
動きが鈍い猫よりも、活発に動き回る若い猫のほうが必要なカロリー量は多くなります。
<体型>
すでに肥満傾向の猫は、摂取カロリー量をおさえる必要があります。
<不妊・去勢手術済み>
不妊・去勢手術を受けるとホルモンバランスが変化して代謝が悪くなるので、手術前と同じ量を食べ続けていると、エネルギー過剰となって太りやすくなります。
猫にとって必要なカロリー量を求める式
環境省による「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」などには、1日当たりのカロリー要求量を測る方法として、以下のような計算式が記載されています。
①猫が安静にしているときのカロリー要求量[RER](kcal)=体重(kg)×30+70
②1日あたりに必要とするカロリー量[DER](kcal)=RER×係数
1日あたりに必要とするカロリー量は、②が示すように、安静時のカロリー要求量に「係数」を掛け合わせることで計算できます。この「係数」とは、愛猫の年齢や不妊・去勢済みか、体型などの条件を数値で表したもの。獣医師に相談して決めるのが望ましいですが、おおよその目安として以下のような例があります。
<係数の例>
●生後4カ月未満の猫…3.0
●生後4〜6カ月の猫…2.5
●生後7〜12カ月の猫…2.0
●活発な猫…1.6
●不妊・去勢済みの成猫…1.2
●高齢猫…1.1
●肥満傾向の猫…1.0
定期的に愛猫の体重を測って増減を確認しながら、必要に応じて食事の量や種類の見直しを。理想的な体重を維持し、病気のリスクを軽減しましょう。
(記事監修:服部幸先生/東京猫医療センター院長)