体のかゆみは猫にとってストレスに。ひどくなる前に、適切な処置を行うことが重要![獣医師アドバイス]

猫はかゆいところがあると、後ろ足でカリカリと体を掻きます。口を使って舐めたり咬んだりすることもあります。しきりに体を掻くときは、まずは皮膚のトラブルが思い浮かぶかもしれませんが、内臓の病気やストレスがかゆみの原因になっていることもあります。

かゆがっているときはまずは皮膚をチェック

「かゆみ」とは、かかずにはいられない不快な感覚です。掻いてもかゆみはなかなか治まらずに、さらに激しく掻くことで、皮膚が傷ついて出血したり炎症を起こしたりして、症状を悪化させることがあります。代表的なかゆみの原因は、ノミやダニ、カイセン、ニキビダニなど外部寄生虫によるもの、皮膚糸状菌症などカビによるものなどです。体を掻いているときは、まずはその部分の毛をかき分けて、皮膚の状態を確認してみましょう。

アレルギーや内臓の病気やストレスも

寄生虫や感染症以外では、猫では食事性アレルギーが多くみられ、頭から首,、 あるいは全身に激しいかゆみが出るのが特徴です。また、ノミアレルギー性皮膚炎も、ノミが猫の血を吸う時に出す唾液に猫がアレルギーを起こし、激しいかゆみを伴います。
そのほか、腎臓病、肝臓病、糖尿病、栄養障害、腫瘍、内分泌系の病気、自己免疫疾患や、心因的ストレス、老齢による乾燥など、さまざまな要因が考えられます。

かゆみの原因を探るポイント

かゆみの原因の特定には、掻く場所やタイミングなどを総合的に判断することが重要です。動物病院で診断するときの手がかりにもなるので、次のポイントをしっかり観察しましょう。

●かゆがる部分はどこか
耳の後ろ(ミミダニや外耳炎など)、顔や耳(猫疥癬など)、首や背中・首筋(ノミアレルギーなど)、頭部と首・全身(食事性アレルギー)、全身(肉芽腫など)など、かゆがっている部分で考えられる病気が変わってきます。

●かゆみ以外の症状
皮膚に赤みや湿疹、脱毛やフケなどがないかを確認します。

●かゆみの度合い
たまに掻く程度か、かゆみが非常に強く皮膚を掻き壊すくらいかなどを観察します。

●かゆがる時期
かゆがる時期や季節が決まっている場合には、外部寄生虫の感染やアトピー性皮膚炎などの可能性もあります。

咬んだり舐めたりするときはかゆみ以外の原因も

猫はかゆいときに、後ろ足で掻くだけでなく、しきりにその部分を舐めたり咬んだりすることがあります。ただし、かゆみ以外でも皮膚に気になる刺激があって行うこともありますし、傷口を舐めることで治そうとしている場合もあります。肛門の周りを舐め続けるときには、直腸などの異常も考えられます。
舐めたり咬んだりするときには、掻いているときと同様に、まずは皮膚に異常がないかの確認を。皮膚に異常がない場合は、ストレスや神経系の病気も疑われます。

かゆみは長引かせないことが重要

このようにかゆみにはさまざまな原因があります。次のうち1つでも当てはまったら、動物病院に連れていきましょう。

●激しく掻いている
●掻きむしって傷になり、出血している
●皮膚に明らかな異常がある
●他の同居動物や家族にもかゆみがある
●ノミがいる
●最近食事内容を変えた
●薬物中毒の可能性がある、家で薬を飲ませた
●何か薬物が皮膚についた可能性がある
●いつも特定の季節にかゆくなる

いずれにしても、体を激しく掻いたり、咬んだりするほどに皮膚が傷ついて症状が悪化し、かゆみが長引くことは猫にとっても大きなストレスになります。できるだけ早く病院で原因を特定してもらうことが大切です。

(監修:石田卓夫先生)