愛犬の皮膚・被毛、目、耳、歯、肛門まわり、爪をしっかりケア。怠ると健康トラブルの原因に。[獣医師アドバイス]

体のお手入れを怠ると、皮膚病や歯周病、爪が伸びすぎて歩行に支障をきたすなど、さまざまな健康トラブルが出てきます。飼い主さんのケアで、犬自身では行き届かない身づくろいを手伝ってあげることが必要です。またお手入れは、犬の体を清潔に保つだけでなく、体の各部に異常がないかチェックしたり、愛犬とのきずなを深めるスキンシップの機会にもなります。

ブラッシングを毎日の習慣に

お手入れの基本はブラッシング。皮膚・被毛の健康のために毎日の習慣にしたいものです。特に春秋の換毛期は、ダブルコートの犬種(上毛と下毛の二重毛)は抜け毛が激しく、しっかり取り除かないとムレて皮膚病の原因になります。またシングルコートでも長毛の場合は、毛がもつれて毛玉ができやすいので、こまめなブラッシングが欠かせません。スリッカーブラシはもつれほぐしに、ラバーブラシは抜け毛除去に、コームやピンブラシは毛並みを整えるのに便利です。目的に応じて選びましょう。

シャンプーは月1〜2度ペースで

皮膚の清潔を保つために定期的なシャンプーも必要です。洗いすぎると皮膚に負担をかけるので、月1〜2回を目安にしましょう。洗う前にブラッシングで抜け毛やもつれを取り除いておくこと。犬用のシャンプー剤を使い、35℃〜37℃程度のお湯で洗います。シャンプー剤が残らないように十分にすすぎ、シャンプー後はしっかり乾かします。すすぎ残しや生乾きは、皮膚病の原因になりかねません。

目・耳のお手入れはゴシゴシこすらない

目やになどで目の周りが汚れているときは、ぬるま湯で湿らせたガーゼやコットンでやさしく拭います。汚れたままにしておくと、目に細菌が入って結膜炎になることも。涙やけが気になるときは、涙やけローションなどでケアしましょう。

耳はデリケートなので、綿棒などでゴシゴシこすると耳の中を傷つけたり、汚れを奥に押し込んで逆効果になりかねません。家庭でのケアは無理をせず、見えている範囲の汚れを拭う程度にしておきましょう。耳が強くにおったり、黒っぽい耳垢がみられるときは、外耳炎が疑われるので動物病院へ。

犬は歯周病になりやすいので、歯みがき習慣を

犬は人よりずっと歯周病になりやすいので、子犬の頃から歯みがきの習慣をつけたいものです。とはいっても、いきなり歯ブラシによるケアはハードルが高いので、少しずつ慣らしていきます。最初は口の周りを触ることから。次は口の中に指を入れてみる。さらに、歯みがきシートなどで歯や歯茎をこすってみる。それもクリアできたら、歯ブラシによるケアへ。歯みがきは毎日が理想ですが、無理なときは、食後に口の中の汚れを拭いてあげるだけでも違います。

肛門腺しぼり・爪切りは、難しければ動物病院で

犬の肛門の斜め下(4時と8時の位置)には、肛門腺という一対の臭腺があり、そこから出る独特のニオイのする分泌液が、肛門のうという袋に溜まります。この分泌液がうまく排出されず溜まりすぎると、肛門のうが炎症を起こします。自力でうまく排泄できない溜まりやすい体質の犬などは、肛門腺しぼりが必要です。お尻を触ってみて、ふくらみを感じたら溜まっている証拠。しぼり方にはコツがあり、しっぽを持ち上げて、肛門のうの位置に指を当て押し上げるように絞ります。

犬は爪切りも必要です。伸びたまま放置すると、巻き爪や爪が折れるなどして危険です。爪の中には血管と神経が通っているので(ピンク色に透けて見える部分)、そこを避けて、ペット用の爪切りで少しずつ切っていきます。

肛門腺しぼりや爪切りは、難しければ動物病院やペットサロンにお願いしましょう。

(監修:石田卓夫先生)