「いつもと違う」に敏感になろう!自宅でできる愛猫の健康チェック[獣医師アドバイス]

愛猫に元気で長生きしてもらうためには、自宅での日頃の健康チェックと、動物病院での定期的な健康診断というダブルチェックが重要です。飼い主さんが普段の様子をきちんと観察しておかないと、異変に気づけず病気のサインを見逃してしまうかもしれません。普段から愛猫の様子を見たり体を触ったりして、自宅での健康チェックをしっかりと行いましょう。

[食欲のチェック]〜水を飲む量にも気を配ろう

「食欲は健康のバロメーター」というように、毎日の食欲や食べ方のチェックは大切です。食欲をしっかり把握するためには、目分量ではなく一定量を与えることが大切です。猫はもともと食欲にムラのある動物ですが、フードの内容も量も変えていないのに食べ残す場合には、食べるときの様子やウンチの状態、元気があるかどうかなども合わせて、変化はないかを確認してください。肥満の猫の場合、食欲不振の状態が1週間続くと、肝リピドーシス(脂肪肝)を引き起こすこともあります。成猫期以降には、食欲不振だけが唯一の症状である慢性膵炎がみられるようになります。

口内炎や歯肉炎、舌炎などによって口の中に痛みがあると、食欲が落ちたり食べこぼしたりすることもあるので、口臭やよだれ、口の中の赤みがないかもチェックしましょう。

また、食事と合わせて水を飲む量を確認することも重要です。水を飲む量が増えた場合には、慢性腎臓病をはじめとするなんらかの病気の可能性もあります。

食欲とともに定期的に体重も測定して、変化がないかを確認しましょう。ガツガツ食べるのにやせるときは甲状腺機能亢進症などの可能性があるので注意が必要です。

[ウンチやオシッコのチェック]〜オシッコの量や回数は特に注意

ごはんを食べたらウンチやオシッコとして排泄するのは、生きていくうえで欠くことのできない生理現象であり、食欲と同じく、重要な健康のバロメーターです。ウンチやオシッコの色、ニオイ、量、回数に変化はないか、ウンチは硬さも毎日しっかり確認しましょう。

正常なオシッコの色は薄い黄色でややニオイがあり、1日の回数は成猫では2〜3回が目安です。猫は泌尿器の病気にかかりやすく、高齢の猫に多くみられる慢性腎臓病で腎臓の機能が低下してくると、オシッコの量が増えて色も薄くなりニオイもあまりしなくなるので、変化に注意してください。

ウンチはコロッとしていて、スコップやティッシュペーパーでさっとつまめるのがほどよい硬さです。回数の目安は成猫で1日1〜3回。色やニオイは食べ物によっても異なるので、愛猫のいつもの状態を覚えておきましょう。

また排泄している様子の観察も重要です。力んでいるのに出ない、トイレで妙な声で鳴く、何度もトイレに行くときは、なんらかの異常が考えられます。

[行動のチェック]〜気になる行動は動画で記録

いつもと違った様子はないか、表情やしぐさ、行動の観察も重要です。どこか1箇所をしきりに舐めたり掻いたりするときには、気にしている部分を確認してみましょう。足先やシッポなどを舐め続けたり咬んだりする場合には、極度の不安やストレスが原因のこともあります。動きが鈍い、元気がない、落ち着きがない、異常に興奮している場合にも、思い当たる原因を考えてみましょう。

そのほか、足を引きずる、歩き方がおかしい、よろける、ふらつく、ふるえるなど、いつもと違う行動が見られるときには、動画で録画しておくと動物病院で説明する際に大いに役立ちます。気になる行動が見られたら、早めに動物病院に相談しましょう。

スコティッシュフォールドでは比較的若いうちから関節疾患がみられるものもあります。

[ボディチェック]〜スキンシップを図りながらしっかり確認

愛猫とのコミュニケーションも兼ねて、ブラッシングをしたり体を撫でたりしながら、できるだけ毎日、体の部分ごとに確認しましょう。すみずみまでボディチェックをするためには、どこを触っても嫌がらないように慣らしておくことも大切です。

【耳】耳垢などの汚れやニオイはないか。かゆみはないか。
【目】涙、目やに、充血、しょぼつき、にごりなどはないか。
【鼻】適度に濡れているか。鼻水やくしゃみはないか。
【口】よだれ、口臭はないか。歯石はついていないか。歯肉が赤くなっていたり、白くなったりしていないか。
【足先】爪が伸びすぎていないか、肉球に傷はないか、足の裏に異物がはさまっていないか。
【背中やおなか】触って嫌がったり痛がったりするところはないか。皮膚にフケや赤み、しこり、脱毛、ただれ、かゆみなどはないか。毛づやはよいか。
【お尻】肛門のまわりにウンチによる汚れ、ただれや赤みなどはないか。

ポイントを抑えながら、家庭での「食欲・排泄物・行動」の観察とボディチェックを習慣にしましょう。「いつもと違う」と感じたら、なるべく早めに動物病院で相談してください。

(監修:石田卓夫先生)