猫がお尻を地面にこすりつけたり、お尻のニオイが気になるときは・・・肛門のうをチェック![獣医師アドバイス]
猫がしきりにお尻を地面にこすりつけていたり、お尻から便とは違う悪臭がしたり・・・。そんなときは、なんらかの病気やトラブルの可能性があります。お尻は毎日の排せつに関わる大切な部位。異常に早く気づいてあげましょう。
地面にこすりつけるのは、お尻の違和感から
猫がお尻を地面にこすりつけながらズリズリと前に進む、通称“お尻歩き”は、お尻にかゆみや痛みなどの違和感があるときの行動です。この行動が見られたら、すぐにお尻の周辺をチェックして、便や異物が付着していないか、傷やただれ、腫れなどがないか、お尻から悪臭がしないかなど、よく確認してください。
多いのは、肛門のうに分泌液が溜まっているケース
お尻の違和感の原因として最も多いのは、肛門のうに分泌液が溜まっている場合です。猫の肛門の斜め下(4時と8時の位置)には、肛門腺という一対の臭腺があり、そこから個体識別のための独特のニオイのする分泌液が出て、肛門のうという袋に溜まります。これ自体は病気ではありませんが、猫はお尻を気にしてなめたり床にこすりつけたりします。
この分泌液は、通常、排便時にいっしょに排出されますが、自力でうまく排出できない猫もおり、その場合は人が定期的にチェックしてしぼってあげる必要があります。
分泌液が溜まりすぎると、肛門のう炎を発症し、ひどい場合は破裂して、皮膚を破って血や膿が出てくることもあります。
毛が混じって便の切れが悪い
猫は毛づくろいで飲み込んだ毛を便といっしょに排せつします。便に毛が混じると便の切れが悪くなり、猫は肛門周辺の違和感や異物感を取ろうとして、床にお尻をこすりつけます。とくに長毛種によく見られます。
メス猫が陰部を気にするときも要注意!
メス猫が外陰部を気にして、しきりになめたりこすりつけたり、悪臭のする化膿したおりものなどが見られるときは、膣炎や子宮蓄膿症かもしれません。猫は犬ほど子宮蓄膿症は多くありませんが、命に関わることもある病気なので、避妊手術をしていない高齢猫は要注意です。多飲多尿や嘔吐など、他の症状にも気をつけて、異常を見逃さないようにしましょう。
寄生虫感染でも、お尻に違和感
猫には、回虫、鉤虫、瓜実条虫など、腸内に寄生するさまざまなお腹の虫がいますが、これらの寄生虫に感染しているときも、お尻をこすりつける行動が見られます。虫体が肛門近くに移動してきたときにムズムズしたり、瓜実条虫の場合は片節と呼ばれる虫体の一部が肛門から排出されるときにかゆみを感じるためです。
お尻まわりのトラブルを予防するには
お尻まわりのトラブルを予防するには、普段から肛門周辺を清潔に保ち、炎症を起こさないようにすることが大切です。また、猫が余計な毛を飲み込まないようにブラッシングをしっかりしたり、排便トラブルのある長毛の猫は、お尻まわりの毛をカットしておくなどの対処を。
お腹の虫も、動物病院で定期的に検査・駆虫を行っていれば安心です。
(監修:石田卓夫先生)