猫はもともと唾液が少ない。よだれを垂らしていたら、口腔内のトラブルや内臓の病気かも[獣医師アドバイス]
犬は食べ物を目にしたり、リラックスして眠っているときなど、体に異常がなくてもよくよだれを垂らしますが、猫が普段、よだれを垂らすことはあまりありません。もしよだれの多さが気になるようなら、体調不良や病気のサインかもしれません。危険なよだれを見逃さないために、どんな病気の可能性があるのか知っておきましょう。
よだれの原因で最も多いのは口腔内のトラブル
通常、唾液は、食べ物のにおいをかいだり、口の中に物が入って口腔粘膜が刺激されると分泌が活発になるのですが、口内の痛みや異物感によっても唾液は増えます。
とくに猫は口腔内のトラブルが多く、異常なよだれは口の中の病気が関連していることが多いです。歯周病や破歯細胞性吸収病巣、口内炎、高齢の猫なら口腔内腫瘍など、いずれの場合もよだれの量が増え、よだれがにおったり、血が混じることもあります。
口腔内以外の病気で考えられる原因は?
口腔内のトラブル以外では、次のようなケースが考えられます。
●誤飲
異物がのどや食道に詰まって吐こうとしたときや、刺激物を口にしたときにもよだれがあふれ出ることがあります。猫に苦い薬を飲ませようとして、大量のよだれとともに吐き出された経験をもつ飼い主さんもおられるでしょう。
また猫はセルフグルーミングをするので、体に付いた有害物質をなめて、嘔吐や泡状のよだれ、けいれんなどの中毒症状を起こすことも。異物誤飲や中毒症状の場合は緊急の処置を要します。
●熱中症
猫は暑さに強いと思われがちですが、猫も熱中症になります。夏場、蒸し暑い部屋に閉じ込められたり、キャリーバッグでの長時間の移動などで、ぐったりしてよだれを垂らし、呼吸が荒いときは熱中症が疑われます。体を冷やし、水を飲ませる応急処置をして、すぐに動物病院へ。
●感染症
“猫風邪”とも呼ばれる猫カリシウイルス感染症になると、くしゃみや鼻水、発熱などの典型的な風邪の症状のほか、口内炎や舌炎などを引き起こし、よだれや口臭がきつくなる特徴があります。また猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)も、発症すると免疫力が低下し、難治性の口内炎を起こしてよだれが出ます。
●脳神経系の障害
てんかんなど、脳神経系の異常によってもよだれが増えます。
●その他
胃酸過多、腎臓病や肝臓病、膵炎などの内臓の病気で吐き気を催し、よだれが増えることもあります。とくに高齢の猫は慢性腎臓病が増えるので要注意です。
よだれと合わせてチェックしたい症状
よだれがいつもより多いときはさまざまな病気の可能性があり、なかには緊急性の高いものもあります。よだれと合わせて、次のような症状が見られる場合は、できるだけ早く動物病院で受診してください。
●口臭がする、よだれがにおう
●よだれに血や泡が混じっている
●ぐったりしている
●呼びかけに反応がない
●けいれんが見られる
●嘔吐する、あるいは吐きそうにするが吐けない
●お腹がふくれている ・・・など
(監修:石田卓夫先生)