もしも子猫を保護したら…。その日のうちに動物病院でしてもらうこと[獣医師アドバイス]

もしも、道で、公園で、庭先で、出会ってしまった子猫を保護したら?「どうやってお世話をしたらいい?」「飼うには何を揃えればいい?」「うちでは飼えないけれど飼ってくれる人を探す方法は?」。いろんなことが頭をよぎると思いますが、最初にするべきは、動物病院へ連れていくことです。

動物病院へ連れていく前に連絡を

外で生活していた猫の場合、ノミやマダニなどの寄生虫が付着していたり、感染症にかかっている可能性があります。動物病院内で寄生虫や病原体を拡散させてしまうリスクを避けるために、受診前にノラ猫を保護したこと、猫の様子を連絡して指示を仰ぎましょう。とくにパルボウイルスのような感染力も致死率も高いウイルスには警戒が必要です。

マイクロチップ装着の有無を調べてもらう

首輪をしていなくても、ノラ猫ではなく、もしかしたら脱走した猫の可能性もあります。動物病院が所有するマイクロチップリーダーで、マイクロチップの装着の有無を調べてもらいましょう。

健康チェックや検査をしてもらう

ケガや病気の症状がないか全身の観察、体重計測をしてもらいましょう。気になる症状がある場合など、必要に応じて血液検査も受けさせることがあります。後日落ち着いてからでも、ノラ猫がかかりやすい「猫エイズウイルス感染症」と「猫白血病ウイルス感染症」の2つのウイルス検査は受けさせましょう。

週齢・月齢を調べてもらい、お世話のアドバイスを受ける

成長段階に応じてお世話の仕方も異なるので、週齢や月齢を調べてもらいましょう。食事は、ミルクや離乳食が必要か、ドライフードを与えればいいか確認を。また、生後3〜4週齢頃までは自力で排泄ができないので、ガーゼなどで軽くおしりをポンポンと刺激してあげる必要があります。やり方がわからなければ、獣医師にお手本を見せてもらうといいでしょう。

ワクチン接種や避妊・去勢手術の時期を相談しておく

感染症から猫を守るためのワクチン接種は、子猫のうちから接種が必要です。成長段階や同居猫の有無、現在の健康状態が関わってくるので、接種タイミングは獣医師とよく相談しましょう。

また、月齢によっては、避妊・去勢手術が早めに必要になります。後日行えるように、性別も動物病院で確認してもらいましょう。

検便をしてもらう&体の中と外の寄生虫を駆除する

外で暮らしていた猫は、体表に付いた外部寄生虫(ノミやマダニ)のほか、体内に内部寄生虫(回虫や条虫、目に見えないトリコモナスやコクシジウムなどの原虫類)が寄生している可能性があります。下痢をしたり、ひどい場合は腸管に詰まってしまうことも。ウンチを採取できるようなら、動物病院に持参して検便してもらいましょう(当日難しければ、後日でも)。

寄生虫の駆除には、駆虫剤(首の上から垂らすスポット製剤や内服薬)を投与してもらいます。

自宅に戻ったら、同居猫とは生活空間を分けて

同居猫がいる場合は、感染症の有無にかかわらず、原則、1カ月くらいは生活空間を分けます。検査で猫エイズウイルス感染症や猫白血病ウイルス感染症が認められなくても潜伏期間を置いて発症する可能性がありますし、いきなり対面させると同居猫にとって大きなストレスとなる恐れがあるためです。ケージがなければ、できるだけ早めに購入して、その中を生活スペースとしましょう。

(記事監修:服部幸先生/東京猫医療センター院長)