怠ると愛猫の健康トラブルの原因に!皮膚・被毛、目、耳、歯、肛門まわり、爪はしっかりケアを。[獣医師アドバイス]
猫も体のお手入れを怠ると、皮膚病や歯周病など、さまざまな健康トラブルが出てきます。猫はセルフグルーミングをする動物ですが、猫自身では身づくろいが行き届かなところもあるので、飼い主さんのケアで手伝ってあげることも必要です。またお手入れは、猫の体を清潔に保つだけでなく、体の各部に異常がないかチェックしたり、愛猫とのきずなを深めるスキンシップの機会にもなります。
ブラッシングを毎日の習慣に
皮膚・被毛の健康のために、ブラッシングは毎日の習慣にしたいものです。猫の多くはダブルコート(上毛と下毛の二重毛)なので、春秋の換毛期には抜け毛が激しくなります。猫は体を舐めて毛づくろいをするため、抜け毛をしっかり取り除かないと、飲み込んで毛球症になりかねません。また長毛種は毛玉ができやすいので、こまめなブラッシングが不可欠。毛玉やもつれをほぐすのには、スリッカーブラシやコームが、抜け毛除去にはラバーブラシが便利です。
短毛種はシャンプー不要、長毛種は月1回ペースで
猫はセルフグルーミングをするので、短毛種ならシャンプーは不要、汚れたらお湯でしぼったタオルでふく程度で十分です。ただし汚れやすい長毛種は、月1回程度シャンプーしましょう。洗う前にブラッシングで抜け毛やもつれを取り除いておき、猫用のシャンプー剤を使って、35℃〜37℃程度のお湯で洗います。シャンプー剤が残らないように十分にすすぎ、シャンプー後はしっかり乾かします。すすぎ残しや生乾きは皮膚病の原因になります。
目・耳のお手入れはゴシゴシこすらない
目やになどで目の周りが汚れているときは、ぬるま湯で湿らせたガーゼやコットンでやさしく拭います。汚れたままにしておくと、目に細菌が入って結膜炎になることも。涙やけが気になるときは、涙やけローションなどでケアしましょう。
耳はデリケートなので、綿棒などでゴシゴシこすると耳の中を傷つけたり、汚れを奥に押し込んで、逆効果になりかねません。家庭でのケアは無理をせず、見えている範囲の汚れを拭う程度にしておきましょう。耳をかゆがったり、黒っぽい耳垢がみられるときは、耳ダニ感染が疑われるので動物病院へ。
猫は歯周病になりやすいので、歯みがき習慣を
猫は人よりずっと歯周病になりやすいので、子猫の頃から歯みがき習慣をつけたいものです。とはいっても、いきなり歯ブラシによるケアはハードルが高いので、少しずつ慣らしていきましょう。最初は口の周りを触ることから。次は口の中に指を入れてみる。さらに、歯みがきシートなどで歯や歯茎をこすってみる。それもクリアできたら歯ブラシによるケアへ。毎日の歯みがきが理想ですが、成猫になってから歯みがき習慣をつけるのは大変です。難しければ、歯みがきおやつやマウススプレーなど、できる範囲のケアで。
必要に応じて、肛門腺しぼりや爪切りも
猫の肛門の斜め下(4時と8時の位置)には、肛門腺という一対の臭腺があり、そこから出る独特のニオイのする分泌液が肛門のうという袋に溜まります。この分泌液がうまく排出されず、溜まりすぎると、肛門のうが炎症を起こします。犬ほどトラブルは多くありませんが、お尻を触ってみてふくらみを感じたら溜まっている証拠、肛門腺しぼりが必要です。しぼり方にはコツがいるので、動物病院でお願いしましょう。
猫は爪とぎをすることで外側の古い爪をはがし、その下の新しく鋭い爪を出します。そのままだと家具を傷つけたりカーペットに爪を引っかけたりして危険ですので、爪切りが必要です。爪の中には血管と神経が通っているので(ピンク色に透けて見える部分)、そこを避けてペット用の爪切りで切ります。
(監修:石田卓夫先生)