目の色がいつもと違うと感じたら要注意。放置すれば失明のおそれも![獣医師アドバイス]
グリーン、カッパー、ヘーゼル、アンバー、ブルーなど猫の目の色はバリエーションが豊富で、吸い込まれそうな透明感があります。そんなきれいな目の色が白くにごっていたり、赤くなったり、ずっと瞳孔が開きっぱなしになっていたら、明らかに何らかのトラブルのサインだと考えてください。
目の赤みはまず結膜炎を疑う
目の赤みの原因で一番多いのが結膜炎です。上下のまぶたと眼球をつないでいる結膜は、つねに外気にさらされ、チリやほこり、植物の種子、まつげ、細菌やウイルス、化学物質などさまざまな刺激を受けて炎症が起こることがあります。一般的に、片方の目だけが赤い場合は、異物が目に入ったなどの物理的な刺激が原因で、両目が赤い場合には、細菌やウイルスなどの感染、アレルギーなどが原因だと考えられます。
また、目頭の内側にあって普段は見えていない瞬膜が飛び出して炎症が起こり、さくらんぼ状に赤くふくらむ「チェリーアイ」(瞬膜露出症)という病気もあります。
目の色の変化は特に要注意
目の色や瞳孔に異変が起こる病気はほかにもさまざまなものがあります。多くは目の病気ですが、肝臓の病気や高血圧が原因の場合もあります。
●眼球が白くにごる
いつもは透明感のある虹彩が白くにごって見えるときには、どの部分がにごっているかを確認しましょう。全体的に白くにごっているときには「角膜炎」など角膜に炎症が起こっているおそれがあります。光をまぶしがるしぐさがみられ、涙もたくさん出ます。水晶体の部分だけが白くにごっている場合は「白内障」が考えられます。
●眼球が赤く見える
虹彩に充血や出血、にごりなどがみられたら、ぶどう膜(虹彩、毛様体、脈絡膜)に炎症が起こる病気「ぶどう膜炎」のおそれがあります。強い炎症が起こると、瞳孔が変形します。
角膜と虹彩の間にある前眼房で出血が起こる「前房出血」では虹彩の部分が真っ赤に見えます。
●眼球が緑色に見える
全体的に目の色が緑色や黄色っぽくなり、明るい場所でも瞳孔が開いているときには「緑内障」が疑われます。進行すると眼圧が高くなって目が大きく飛び出してきます。失明することもあります。
●白目が黄色くにごっている
白目などの結膜が黄色くにごっているときには、「肝機能障害」によって「黄疸」が出ているサインです。歯肉なども黄色っぽくなります。
●結膜が赤い
白目や結膜が赤くなり、かゆがって目をこするしぐさがみられたら、「結膜炎」だと考えられます。
●瞳孔が開きっぱなし
明るいところでも瞳孔が開きっぱなしの場合は、緑内障の他に「高血圧症」の疑いもあります。慢性腎臓病の進行によっても高血圧の症状が現れます。また、瞳孔が片側だけ開いたり閉じたりして、左右の瞳孔の大きさが違うときには、神経系の異常が考えられます。
目の異常に気づいたらできるだけ早く病院に相談を
愛猫の目の色に違和感を感じたら、猫を座らせて正面から目の状態を観察しましょう。明るい方がよく見えますが、直射日光が猫の目に当たらないように気をつけてください。片手で頭を軽くおさえ、もう片方の手の親指と人差し指でまぶたを広げて観察します。必ず両目をチェックしましょう。
●目やにや涙は出ていないか?
●まぶしがったり、目をショボショボさせてはいないか?
●前足で目をこすっていないか?
●かゆがったり痛がったりしていないか?
●眼球に傷はないか?
●正面から見たときに左右でバランスが違っていない?
●目の動きは正常か?
●目以外の他の症状はみられないか?
鋭い爪をもつ猫は、猫同士のけんかなどで目に傷を負うことも少なくありません。目の異変のサインを見逃して病気が進行すれば、飼い主が気づかぬうちに視力を失っているという事態も招きかねません。猫は人の言葉で不調を訴えることをできませんが、「目は口ほどにものを言う」とはまさにその通り!日頃からしっかり観察し、「いつもと違う」と感じたら、ただちに動物病院を受診しましょう。
(監修:石田卓夫先生)