愛猫の健康を支える「食事」の選び方・与え方とは?[獣医師アドバイス]
食事は、猫が健康な生活を送る上でとても重要な要素です。人とは食性が違うため、人用に調理したものは猫の食事には適しません。また成長や加齢に伴って、食事の内容や与え方にも見直しが必要になってきます。猫の健康を支える食事管理についてみていきましょう。
「総合栄養食」と「一般食」の使い分け
最近は、愛猫に手づくり食を与える飼い主さんも増えていますが、必要なカロリーや栄養バランスを考えた食事づくりは知識も手間も必要です。その点キャットフードを利用すれば、手軽で失敗のない栄養管理が可能です。
キャットフードには総合栄養食と一般食があります。主食としてよく使われるドライフードのほとんどは総合栄養食なので、フードと水だけで、猫に必要な栄養素を摂取することができます。缶詰やレトルトなどのウェットフードにも総合栄養食はありますが、多くは一般食です。嗜好性に優れているので猫は喜んで食べますが、総合栄養食でないものだけを与えていると栄養が偏ったり、カロリーオーバーで肥満の原因になりかねません。
一般食のウェットフードは、おかずとしてドライフードにトッピングしたり、食欲がないときの食欲増進策などに利用しましょう。
食事回数は1日2回にこだわらなくてもOK
フードの給与量はパッケージに記載された分量がめやすとなりますが、猫が太り気味だなと感じたら少し減らすなど、愛猫の状態に応じて調整しましょう。
食事回数は、生後6ヵ月頃までの幼猫や、一度にたくさん食べられなくなっている高齢猫などは1日3〜4回に分けましょう。人間の都合で1日2回の食事が一般的になっていますが、回数に決まりはありません。猫は少量ずつ何回にも分けて食べるのが普通です。
食事とともに大事な水分補給
猫の場合、食事とともに大事なのがしっかり水を飲ませること。飲水量が少ないと泌尿器の病気にかかりやすくなります。猫がいつでも水を飲めるように複数個所に水飲み食器を置いておきましょう。またドライフードにチキンのゆで汁をかけたり、ウェットフードをトッピングするのも、あまり水を飲まない猫の水分補給になります。
フードはライフステージに合わせて選ぼう
成長や加齢に伴って、必要なカロリーや栄養バランスも変わってきます。フードは猫のライフステージに合ったものを選びましょう。
幼猫用フードは、成長期を支えるために栄養価が高くなっています。1歳を目処に成猫用フードへの切り替えを。そして7歳頃になると、食欲はまだまだ旺盛なのに基礎代謝が低下してきて、太りやすくなります。低カロリー設計のシニア用フードへの切り替え時期といえます。さらに10歳を超えてくると、徐々に食事量が落ちてきます。この時期には少量でも効率よく栄養やカロリーが摂れる食事が求められます。最近はハイシニア用のフードが出ているので、利用するといいでしょう。
猫に与えると危険な食べ物とは
飼い主さんは自分の食べているものをつい愛猫にお裾分けしがちですが、以下に挙げたのは猫にとって危険な食べ物で、中毒を起こして命に関わることもあります。雑食性の犬と違って、猫が積極的に食べるものではありませんが、飼い主さんがうっかり与えたり、猫が好奇心から誤って口にしないように注意してください。それから、猫がいたずらをして食べてしまうと危険な植物の代表がユリやポインセチアです。
●タマネギ、長ネギなどのネギ類
●アボカド
●チョコレート・ココア
●アルコール
●マカダミアナッツ
●コーヒー・紅茶
●香辛料・・・等
(監修:石田卓夫先生)