猫のフケ、これって病気?出るタイミングや量を しっかり観察しよう![獣医師アドバイス]
人と同じように、猫の皮膚からもフケが出ます。しかも人は髪の毛の生えている頭皮だけですが、猫は被毛で体をすっぽり覆われているので、全身からフケが出ます。猫は毎日の毛づくろいで体を清潔に保っているため、普段はあまりフケも気になりません。猫のフケが目立ったり、かゆみなどの症状があるときには動物病院を受診しましょう。
そもそもフケって何?
フケは皮膚の表面からはがれ落ちた角質細胞のかけらです。皮膚の細胞は毎日少しずつ新しいものに生まれ変わっています。健康な猫の皮膚からはがれ落ちるフケは、白くてとても細かいものです。毛色が黒っぽい猫は多少目につくことがありますが、通常はほとんど目立ちません。
乾燥するとフケが増える
人でも冬になると肌がかさついたりフケが増えたりするように、猫の皮膚も空気の乾燥の影響を受け、フケが出やすくなります。空気が乾燥する冬場はもとより、夏場でも1日中エアコンの風にさらされていると皮膚は乾燥します。
また加齢とともに体の水分量が減少して保湿力が低下することで、皮膚が乾燥しやすくなることも。さらに毛づくろいの回数も減ってくるため、高齢猫ではフケが目立つこともあります。
緊張したときにもフケが出る
フケの出やすさは猫の体質によっても違ってきます。短毛種のほうが長毛種に比べると皮膚が乾燥しやすいため、フケが目立ちやすい傾向にあります。
また動物病院の診察台に猫を載せたときなどに、フケが出ていることに気づくことがあるかもしれません。緊張やストレスによって毛の根元にある立毛筋が収縮することで、突然、毛が抜けたり、大量のフケが出たりすることがあります。
寄生虫や感染症が原因のことも
大量のフケが出たり、かゆがったり、毛が抜けたりしている場合は、寄生虫や皮膚炎の疑いがあります。
●ツメダニ症
ツメダニという小さなダニが寄生することで起こる感染症で、大量のフケが出るのが特徴で、背中に湿疹やかさぶたもできます。猫のかゆみはそれほどひどくはありませんが、人にうつると強いかゆみをともないます。
●猫疥癬
ネコショウセンコウヒゼンダニが寄生して発症する感染症で、激しいかゆみがあります。顔や耳が脱毛してかさぶたになり、フケもみられます。
●皮膚糸状菌症(白癬)
皮膚糸状菌というカビ(真菌)によって起こる皮膚炎で、顔のまわり、足先の一部など赤く円形に腫れて脱毛するのが特徴です。脱毛した部分の周りにはフケが出て、かさぶたも見られます。人にもうつります。
アレルギーや栄養不足でも
寄生虫や感染症以外にも、次のような病気でもフケがみられます。
●食物アレルギー
特定の食べ物に対して過敏反応を示して、目の上や額、耳のつけ根の皮膚が赤くなってブツブツができたり、皮膚の表面がボロボロはがれ落ちてフケが増えたり、毛が抜けたりします。かゆみがあり、全身に広がることもあります。
●ビタミンA欠乏症
ビタミンAが極端に不足した状態になると、皮膚が乾燥してフケが出やすくなります。
●線状肉芽腫
白血球の一種である好酸球の異常で起こる線状肉芽腫は、後ろ足の後ろ側などが一直線状に盛り上がって脱毛し、フケも見られます。
●スタッドテイル(尾腺炎)
しっぽの付け根にある尾腺の皮脂の分泌が過剰になって起こる皮膚炎です。しっぽの付け根の毛がベトベトして固まったり、フケが出たりします。去勢していないオスに多く見られます。
●慢性の代謝性疾患
肝臓や腎臓が悪くなり全身の代謝に影響が出るようになると、筋肉が落ち、フケも多くなります。
日頃のケアでフケを防ぐ
フケは新陳代謝によって出るものなので、多少のフケが出ること自体は生理現象です。
ただし猫のフケは人の「猫アレルギー」の原因になることもあります。毎日のブラッシングや定期的なシャンプー、加湿器などで室内の乾燥を防ぐことで、フケを防ぎ、猫の体を清潔に保つことができます。
(監修:石田卓夫先生)