一口でも命に関わるものも…! 猫が口にすると中毒を起こす人の食べ物[獣医師アドバイス]
飼い主さんが問題なく口にできる物でも、猫にとっては毒性が強いものがあります。食べてしまった物や、摂取量によっては死に至るものがありますので、猫が誤って口にしないようにしてください。ここでは、とくに危険度の高いものを紹介します。
代表格はネギ類!
猫に中毒を引き起こす食べ物の代表格といえば、ネギ類。玉ネギやニンニク、青ネギなどに含まれる「アリルプロピルジスルファイド」という辛みに関わる成分は、赤血球を破壊し、溶血性貧血を引き起こします。さらに、流れ出たヘモグロビンが腎臓にダメージを与えて急性腎障害を起こすことがあります。
ネギ類をそのまま食べようとする猫はあまりいませんが、ネギ入りの餃子やチャーハン、玉ねぎ入りのハンバーグ、ガーリックパウダー付きのフライドチキンなど、調理済みのものは猫が自分から食べたがって大量摂取しやすいので、目を離さないようにしましょう。加熱調理されても、毒性はなくなりません。もちろん個体差もありますが、そもそもネギ類を食べる必要もないので、試すことも避けましょう。
チョコレート、コーヒー・紅茶
チョコレートに含まれる「テオブロミン」という物質が、嘔吐や下痢、発作などを招きます。ミルクチョコレートやホワイトチョコレートよりも、カカオの含有量が多いダークチョコレートのほうが危険です。ココアももちろんテオブロミンを含みます。
そして、チョコレートやココアには、テオブロミンと同じグループの物質であるカフェインも含まれます。カフェインはコーヒーや紅茶、緑茶などの飲料にも多く含まれるので、テーブルに置いたカップから愛猫が飲まないように注意しましょう。
人の薬やサプリメント
人が飲む薬やサプリメントは、猫にとって毒となるものがあります。猫が届かないところに収納し、床に落としてしまった場合はすぐに拾いましょう。愛猫に体調不良の様子がある場合でも、飼い主さんの判断で与えるのは絶対やめてください。
解熱鎮痛剤に含まれていることが多い「アセトアミノフェン」「イブプロフェン」は、とくに注意が必要です。アセトアミノフェンは猫には猛毒で、1粒食べただけでも死に至る恐れがあります。
サプリメントの一つ「αリポ酸」は、猫が好みやすい香りをしているためか猫が積極的に食べようとするようです。しかし毒性が強く、2粒ほどでも死に至ります。
ほかに、「ニンニク卵黄」のサプリメントも、ニンニクの成分が中毒を引き起こすので注意が必要です。
中毒の恐れをあるものを口にしたら、直ちに受診を
そのほかアルコール、タバコの吸い殻、ユリ科の植物など、食べ物以外でも猫が口にすると中毒症状を起こしやすいものがあります。とくに猫の生活する部屋には、絶対にユリを置いてはいけません。それ以外にも、ポインセチア、クリスマスローズ、シクラメン、スイセン、ヒガンバナなどは置かないようにしましょう。
中毒の恐れがあるものを猫が口にしたと気づいたら、直ちに動物病院に連絡して、食べたものや量、症状を伝えましょう。食べ残したものや嘔吐物があれば、できれば受診の際に持参を。
(記事監修:服部幸先生/東京猫医療センター院長)