猫の呼吸が速かったり、息が荒かったりは危険な状態!一刻も早く動物病院へ[獣医師アドバイス]
すぐにハァハァと息が荒くなる犬と違って、猫はめったに息が荒くなることはありません。もし、猫の呼吸が速かったり、息が荒かったりするときは、すでに重篤な事態に陥っていることが少なくありません。考えられる病気について見ていきましょう。
「猫風邪」で鼻炎や肺炎に
猫風邪は、猫によくみられるウイルス性の感染症で、くしゃみや鼻水、発熱など、人の風邪に似た症状が出ます。鼻の炎症から鼻粘膜が腫れて鼻づまりを起こし、呼吸がしづらくなったり、重症化すると肺炎に至ることもあります。
呼吸時にゼーゼーと音がする「喘息(ぜんそく)」
喘息は、気管支が炎症を起こし、空気の通り道である気道が狭くなって、呼吸困難をきたす病気です。咳や呼吸をするときにゼーゼーという喘鳴音(ぜいめいおん)がするのが特徴です。原因は確定されていませんが、何らかのアレルギーが関連していると考えられています。
胸水が溜まるとさらに苦しくなる「呼吸器の病気」
気管支や肺などの呼吸器に炎症が起きているときは、スムーズに息ができなくなるため、呼吸の回数を増やして酸素を取り込もうとして、呼吸が速くなります。
また肺炎や肺がんなどで、炎症が肺を包む胸膜まで及ぶと、胸壁と肺などの臓器の間(胸膜腔)に水が溜まり(胸水)、肺を圧迫してさらに呼吸を困難にします。
肺水腫や胸水が心配な「心臓病」
猫によく見られる心筋症など、心臓病でも呼吸が荒くなります。
病気が進行するにつれて、心臓の力が弱まり、心臓から血液を送り出せなくなっていきます。すると血液が心臓に溜まり、溜まった血液は肺へと流れ、肺の毛細血管から水分が漏れ出て肺の中に溜まります。これが肺水腫と呼ばれる状態で、酸素と二酸化炭素の交換がうまく行かず、息切れや呼吸困難を引き起こします。また、胸水が溜まって肺を圧迫し、呼吸がしづらくなることもあります。
フィラリア(犬糸状虫)による「心不全」
心臓や肺に寄生するフィラリア(犬糸状虫)は、犬だけでなく猫も感染し、咳や呼吸困難、突然死の原因になることがあります。
緊急対応が必要な「熱中症」
暑さに強いと思われがちな猫も、熱中症にかかります。ぐったりして、ひたすら荒い呼吸をしていたり、大量のよだれが出ているときは、熱中症が疑われる危険な状態です。
どこかに「痛み」がある場合も
骨折や外傷、ひどい腹痛など、体のどこかに痛みがある場合も呼吸が速くなります。
「発熱」時も息が荒くなる
感染症によって発熱しているときも、熱を放出しようとして呼吸が荒くなることがあります。
呼吸不全をきたす前に異常をキャッチ
一般に、猫の呼吸の異常は見つけにくく、猫が口を開けて呼吸をしたり、せわしなく浅い呼吸をくり返したりしているときは、すでに危険な状態であることが少なくありません。飼い主さんは、そうなる前の段階で気づいてあげたいものです。
呼吸をするたびに鼻がピクピクする、香箱座りしたまま横になれない、呼吸をするとき首の付け根がへこむ・・・など、愛猫の様子に違和感を感じたら、すぐに動物病院へ。
猫が呼吸不全をきたす原因はさまざまです。息が荒いという症状以外に、くしゃみや鼻水はどうか、咳は出ていないか、呼吸時に喘鳴音 はしないかなど、愛猫の様子をよく観察してください。診断時の助けになります。
(監修:石田卓夫先生)